Classiques japonais avec furigana
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ピストルのつかいかた
ピストルの使い方
泉 鏡花
Lisez ピストルの使い方 (ピストルのつかいかた) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 39 100 caractères · 78 écrans
「銅像の目を射るんだ――ちかさん。」
「あら、」
思わず軽く手を拍くと、衝と寄せた、刻んだような美しい鼻を、男の肩に、ひたと着けて、
「いいわねえ、賛成。……上手に射てますか。」
その口振は、ややこの器に馴れたもののようでもある。
「信ずるんだ。腕じゃあない、この拳銃を信ずるんだよ。――聞きたまえ、ここにこの銅像を除幕してから、ほとんど十年になる。これが各国に知れた頃から、私は目を射る事を、遥にまた遠く心掛けた。しかし、田舎まわりの新聞記者の下端じゃあ、記事で、この銅像を礼讃することを、――口惜いじゃあないか――余儀なくされるばかりで。……射的で蝙蝠を落す事さえ容易くは出来ないんです。
おなじく、地方を渡り歩行くうちに、――去年の秋だ。四国土佐の高知の町でね……ああ、遠い……遥々として思われるなあ。」
海に向って、胸を伸ばすと、影か、――波か、雲か、その台座の巌を走る。
「南京出刃打の見世物が、奇術にまじって、劇場に掛ったんだよ。まともには見られないような、白い、西洋の婦人の裸身が、戸板へ両腕を長く張って、脚を揃えて、これも鎹で留めてある。……絵で見るような、いや、看板だから絵には違いない……長剣を帯びて、緋羅紗を羽被った、帽子もお約束の土耳古人が、出刃じゃない、拳銃で撃っているんだ。