Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ピンカンウーリのアマ
ピンカンウーリの阿媽
豊島 与志雄
Lisez ピンカンウーリの阿媽 (ピンカンウーリのアマ) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 3 499 caractères · 7 écrans
忙中の小閑、うっとりと物思いに沈む気分になった時、いたずらにペンを執って、手紙でも書いてみようという、そんな相手はないものだろうか。もとより、用事の手紙ではなく、眼にふれ耳にはいる事柄の、埒もない独白だ。
窓前の木の枝に小鳥が鳴いてるとか、薄霧がはれて日の光りがさしてきたとか、象牙のパイプに脂の色がほんのりしみてきたとか、銭湯に行こうかそれともちょっと酒でも飲もうか……などなど、意味もないつまらないことばかりを並べ立てて、さて、そんな手紙を誰に宛てて出したらよかろうか。
手紙を書くということは、元来、ひどく億劫なことである。埒もない手紙にしても、戯画戯文ではない。それを書くのだから、なにかそこにはおのずから心情の温かみがあろう。愛情というほど強いものではない。ただ、頬杖をつくぐらいな気持ちで頭をもたせかける胸、何も求めない無償の意味で心を寄せかける肌、それだけの相手にすぎない。
その相手が一つ、遠くにあった。
秦の始皇帝の伝説は、日本によく知られている。山東半島の先端に突兀とそびえてる※山の頂から、始皇帝は海上はるかに見渡して、海の彼方にあるという蓬莱島のことを偲び、その島の不老不死の霊薬のことを思った由。