Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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フレップ・トリップ

フレップ・トリップ

北原 白秋

Lisez フレップ・トリップ de 北原 白秋 (きたはらはくしゅう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 145 698 caractères · 293 écrans

Aozora Bunko

そうだ。じっと目を瞑って、仰向いて、観念して、流れるままに、この截断刃の下を、こうして粛々として遣り過ごされて、じゅう……うう。

あっ、私はその時、青くなって、飛びあがって、我に返って、駈け出す私を見た。

*

斧だ。

大きな部厚な斧、上の縁が黒く、中が両方から内へ反って、また開いて煌々とした斧。

これが、ゆっくりと、寛々と、まるで象がうなずいて、また鼻を退く、そのように、立てた六、七吋ばかりの高さの丸太を、ちょいとやる。ほんのちょいと触れて退くだけだが、ばらり、すんすんと縦に割れてゆくのだ。音ひとつ立てるものでない。

截断された丸太が、ころりころりと、ころがって他のレールへ移ると、敏捷く菜っ葉服の一人の手へ捕えられ、重々とこの吊り下った大きな斧の下へ立たされ、ちょいと縁を割られ、くるりとなると、また他の縁をちょいちょいと割られ、ぱんとまた、二つ三つに割られて、ぱらりとなる。

槓杆の、片手は軽い。だが、大斧の、威力は籠る。

鼻が無くてしかもかの象の鼻のアンダンテ。

斧は重くて軽い。ちょいである。

これはまた思無邪の惨虐。

知るがごとく知らぬがごとく、鈍重で、宏量で、斧はうなずく。