Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

フレップ・トリップ

フレップ・トリップ

北原 白秋

Lisez フレップ・トリップ de 北原 白秋 (きたはらはくしゅう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 145 698 caractères · 293 écrans

Aozora Bunko

五

六

七

ああ、しかもまだ彼等が争闘の主因たる成牝(カウ)たちは遥かな遥かな水平線の向うにいるのだ。

ブル即情慾である。彼らは本能そのものなのだ。衝動は自然だ。

全身をあげて彼らは搏つ、生きるがためには、

惨害――自己と地位の確守だ。

勝て。

弱者は畢竟するに弱者に過ぎないのだ。

勝て。

その外は死だ。

眼、

眼、

おそろしく獰猛な二頭が向き合った。

六

岩壁の一角。

鳥。

成牝が来た。

キイキイキイキー。

無数の

飛ぶ飛ぶ飛ぶ飛ぶ、ロッペン鳥。

晴天、

六月の上旬、成牡の来島に遅るること、二、三週後。

ああ、とうとう成牝の大群が来た。

聴け、海豹島の地響きを、動悸を。

九千九百の、

いや、一万、二万の花嫁が来たのだ。

七

新らしき曙の波濤に乗り、オホーツクの海阪を越え、渾沌として黒く漂う浮き脂の大いなるうねりに幾万となく群集して膃肭獣の花嫁成牝らは来る。

しかもまた雲霞のごとく後から後から押し寄せるのだ。

北海の黎明である。

雲は微茫のうちにあって暗く、霧は涯しなく吹き満ち、水平線のかなた遥かに澄みとおる紫の空が透く。

その遥かな、太陽の生るるところより、生まんがために成牝らは来る。