Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ひとつのあいじょう

一つの愛情

豊島 与志雄

Lisez 一つの愛情 (ひとつのあいじょう) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 10 635 caractères · 22 écrans

Aozora Bunko

御嬢様の御病状なんにもわかりませず、ただ気ばかりもんで切のうございます。

私は御嬢様の御病気御平癒を一生懸命御仏に念じております。私は今すぐ死んでもかまいませぬもの。そのかわり、御嬢様の御病気を一日も早くお癒し下さいますよう、御仏に念じております。

御大切な御嬢様、先生の御心をお思いしてたまらなく胸が痛みます。悲しくて切のうございます。

吉岡信一郎の娘が病死した時、葉山紀美子から、文脈乱れがちな短い哀悼の手紙と香奠とが来た。そしてそれからぷっつり、彼女の手紙はとだえてしまった。吉岡から二度ばかり出した手紙にも返事がなかった。紀美子もどこかへ消え失せてしまったような感銘を、吉岡は受けた。

それもよかろう、と吉岡は思った。彼女に対する感情は、恋愛というほど生々しいものではなかったけれど、或る意味ではもっと深い愛情だったようでもある。実体の捉えにくいなんだか抽象的なものだっただけに、却って、何の濁りもなく、すっきりと心中に残った。或はそれが、彼女の心の投影だったかも知れない。彼女はただ一徹で純粋で、肉体的な濁りを持たなかった。彼女自身、彼にとっては、謂わばその手紙が全部だった。