Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ひとつのあいじょう

一つの愛情

豊島 与志雄

Lisez 一つの愛情 (ひとつのあいじょう) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 10 635 caractères · 22 écrans

Aozora Bunko

けれど、先生からお手紙など頂ける身になろうとは、夢にも思ったことがございましょうか。私はもうこのまま死んでも、充分本望でございました。この世に生れて来た甲斐のあった自分を、しみじみ感じました。それが、それが、今は、自分自身の身を先生の前に恥じようと致しております。私は自分のみすぼらしさを、先生の御前に限りなく恥ずかしく存じます。

虫のようにみすぼらしく愚かしい自分の内容を、どうして先生に申上げる勇気がございましょう。けれど、けれど、私はもうどうなってもよろしゅうございます。恥と共に地獄の底に落ち込んでも致し方ございませぬ。どうぞ私をおさげすみ下さいませ。

私はもう七八年前、現在の家へひとりぽっちで逃げてまいりました。私は結婚に失敗致しました。

失意と絶望のただ中で、限りなく我身に悲痛な涙を注ぎました。

何もかも、それは不当であり、不正でございました。私は人生に対して底知れぬ恐怖を感じると共に、一切の人生に見切りをつけてしまいました。何もかも、さげすむべき愚劣さではないか。

死の幻影が、それから私をすっかり包み込んでしまいました。

私はその中にあって、少しの衝撃にも飛び上って死ぬる身構えを致しました。