Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

いっすんぼうし

一寸法師

江戸川 乱歩

Lisez 一寸法師 (いっすんぼうし) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 96 475 caractères · 194 écrans

Aozora Bunko

「どちらへ?」

彼女は癖の、首をかしげて尋ねた。

実業家山野大五郎氏の夫人ともあろう人が、今ごろ満員電車のつり革にぶらさがっていようとは、あまりに意外なので、紋三はすっかり面喰った。

「どうも御ぶさたしました。サアどうか」

彼は兎も角立上って席を譲ろうとした。立上る時、あまりあわてたのと、その時丁度電車がカーヴの所を通り過ぎた為に、フラフラとして、彼の手が夫人の腿の辺に触ったので、彼は一層面喰って真赤になった。

「エエ有難う。丁度いい所で逢いましたわ、私少し伺いたいことがありますのよ。お差支なかったら、この次は広小路でしょうか。今度止ったら私と一緒に降りて下さいません?」

「ハ、承知しました」

紋三はまるで夫人の家来ででもある様に、鞠躬如として答えた。彼は日頃から山野夫人の美貌に対して、ある恐怖に似たものを感じていた。彼は同郷の先輩である主人の山野大五郎氏よりも、この夫人に接する時の方が一層、気づまりであった。

上野広小路で電車をおりると、二人は肩を並べて公園の方へ歩いて行った。

「あなたおひる、まだでしょうね。私もそうなのよ。でも暫く散歩をつき合って下さらないこと。