Classiques japonais avec furigana
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ひとあしおさきに
一足お先に
夢野 久作
Lisez 一足お先に (ひとあしおさきに) de 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 40 200 caractères · 79 écrans
展開して行った。……と同時に私の腋の下からポタポタと、氷のような汗が滴り初めた。
それはツイ今しがた、私が起き上る前の睡眠中に起った出来事であった。
私はマザマザとした夢中遊行を起しながら、この室をさまよい出て、思いもかけぬ恐ろしい大罪を平気で犯して来たのであった。しかも、その大罪に関する私の記憶は、普通の夢中遊行者のソレと同様に、夢遊発作のあとの疲れで、グッスリと眠り込んでいるうちに、あとかたもなく私の潜在意識の底に消え込んでしまっていたので、ツイ今しがた眼を醒ました時には、チットモ思い出し得ずにいたのであったが……そのタマラナイ浅ましい記憶がタッタ今、副院長の暗示的な言葉で刺戟されると同時に、いともアザヤカに……電光のように眼まぐるしく閃めき現われて来たのであった。
それは確かに私の夢中遊行に違い無いと思われた。
……フト気が付いてみると私は、タオル寝巻に、黒い革のバンドを捲き付けて、一本足の素跣足のまま、とある暗い廊下の途中に在る青ペンキ塗りの扉の前に、ピッタリと身体を押し付けていた。そうして廊下の左右の外れにさしている電燈の光りを、不思議そうにキョロキョロと見まわしているところであった。