Classiques japonais avec furigana
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さんにんのそうせいじ
三人の双生児
海野 十三
Lisez 三人の双生児 (さんにんのそうせいじ) de 海野 十三 (うんのじゅうざ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 43 806 caractères · 87 écrans
さて其の夜、貞雄はわが家に一泊を承知しないでホテルに引上げて行った。――そしてその翌朝になると、医療器械のギッシリ詰まっているらしい大きな鞄を下げ、まるで事務員かなにかのように正確にやって来た。
「さあ、こういうことは、午前にやるのがいいのだから、さあ早く支度をして――」
と云って妾を促した。妾はキヨを用事にかこつけて外出させてしまおうと思ったので、それを命じていると、奥から貞雄がノコノコ出て来て云った。
「キヨさんを使いにやるのなら、アレが済んでからにしてはどうかネ」
この貞雄の言葉には、妾はすっかり興を醒ましてしまった。キヨを外に出してしまえば、どんなに落着いて妾の楽しみを味うことが出来るだろうと予期していたのが、すっかり駄目になった。「キヨが居ては、妾厭だわ。――」
と妾は、ちょっと拗ねてみせた。
「それはいけない。こういうことは、たとえ医師でも誤解をうけやすいことだ。どうしても誰かに立ち会って貰うのでなくては、僕はやらないよ」
貞雄の頑迷な潔癖さには、妾はつくづく呆れてしまった。また一面に於ては、それだけ彼の人物が気に入った。もう仕方ないので、キヨを立ち合わせることに同意した。