Classiques japonais avec furigana
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みうらろうじんむかしばなし
三浦老人昔話
岡本 綺堂
Lisez 三浦老人昔話 (みうらろうじんむかしばなし) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 113 637 caractères · 224 écrans
そのとき藤崎さんは彰義隊の一人となって、上野に立籠りました。六年前に死ぬべき命を今日まで無事に生きながらえたのであるから、こゝで徳川家のために死のうという決心です。
官軍がなぜ彰義隊を打っちゃって置くのか、今に戦争がはじまるに相違ないと江戸中でも頻りにその噂をしていました。わたくしも下谷に住んでいましたから、前々から荷作りをして、さあと云ったらすぐに立退く用意をしていたくらいです。そのうちに形勢がだん/\切迫して来て、いよ/\明日か明後日には火蓋が切られるだろうという五月十四日の午前から、藤崎さんはどこかへ出て行って、日が暮れても帰って来ません。
「あいつ気怯れがして脱走したかな。」
隊の方ではそんな噂をしていると、夜が更けてから柵を乗り越して帰って来ました。聞いてみると、猿若町の芝居を見て来たというのです。こんな騒ぎの最中でも、猿若町の市村座と守田座はやはり五月の芝居を興行していて、市村座は例の権十郎、家橘、田之助、仲蔵などという顔ぶれで、一番目は「八犬伝」中幕は田之助が女形で「大晏寺堤」の春藤次郎右衛門をする。二番目は家橘――元の羽左衛門です――が「伊勢音頭」