Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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アリゾナのめとら

世界怪奇実話II

牧 逸馬

Lisez 世界怪奇実話II (アリゾナのめとら) de 牧 逸馬 (まきいつま) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 45 877 caractères · 91 écrans

Aozora Bunko

第一、時間が合わないのである。若しこれがワラタ号だったとすれば、同日午前六時にクラン・マッキンタイア号を追い越してから、その日の夜九時半までに、ワラタは、たった七哩しか前進していない勘定になる。ところがワラタ号は時速平均十三ノットの、当時としては快速船なのだ。尤も、何か機関部の故障で、のろのろ航行していたのかも知れないと考え得られるけれど、それなら、この同じコウスを後から来る例のクラン・マッキンタイア号に追い抜かれなければならない。尠くとも、再び同船の視野に這入っている筈である。

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客船トテナム S.S Tottenham の二等運転士が、八月十一日に、イースト・ランドンとバッシイ河口との間に二、三の屍体が浮かんでいるのを見たと言った。赤いドレッシング・ガウンに包まれた七、八歳の少女の溺死体が、浪のあいだに漂っていたというのだ。この話しは詳細を極めたもので、少女は深紅の頭巾をかぶり、黒い靴下を穿いて、両膝が露出していたという。この「赤いガウンの少女」は、その後もあちこちの海に現れて、多くの船員の眼に止まっている。年齢は見る人に依って十歳とも十二歳とも言われたが、何時も膝がむき出しで、黒い靴下をはいて波の間に間に浮かんでいる。