Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
せそう
世相
織田 作之助
Lisez 世相 (せそう) de 織田 作之助 (おださくのすけ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 32 089 caractères · 64 écrans
茶の間へ上って、電気焜炉のスイッチを入れると、横堀は思わずにじり寄って、垢だらけの手をぶるぶるさせながら焜炉にしがみついた。
「待てよ、今お茶を淹れてやるから」
家人は奥の間で寝ていた。横堀は蝨をわかせていそうだし、起せば家人が嫌がる前に横堀が恐縮するだろう。見栄坊の男だった。だからわざと起さず、紅茶を淹れ、今日搗いて来たばかしの正月の餅を、水屋から出して焜炉の上に乗せ乍ら、
「どうしてた。大阪駅で寝ていたのか。浮浪者の中にはいっていたのか」とはじめて訊くと、案の定へえとうなだれた。
「顔どうしたんだ」
「出入をやりましてん」左の眼を押えて、ふと凄く口を歪めて笑った。大きく笑うと痛いのであろう。
「出入って、博徒の仲間にはいったのか、女出入か、縄張りか」
それならまだしも浮浪者より気が利いていると思ったが、
「闇屋の天婦羅屋イはいって食べたら、金が足らんちゅうて、袋叩きに会いましてん。なんし、向うは十人位で……」
「ふーん。ひどいことをしやがるな。――おい、餅が焼けた。食べろ」
「へえ。おおけに」
熱い餅を掌の上へ転がしながら、横堀は破れたズボンの上へポロポロ涙を落した。