Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
こじきがくせい
乞食学生
Lisez 乞食学生 (こじきがくせい) de Dazai Osamu (太宰 治) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 33 682 caractères · 68 écrans
「これから、また、ぼちぼち八犬伝を読み直すのだから。」
「僕は、かまいません。」熊本君も、私たちと一緒に外出したいらしいのである。「なんだか、面白くなりそうですね。あなたは青春を恢復したファウスト博士のようです。」
「すると、メフィストフェレスは、この佐伯君という事になりますね。」私は、年齢を忘れて多少はしゃいでいた。「これが、むく犬の正体か。旅の学生か。滑稽至極じゃ。」
たわむれて佐伯の顔を覗くと、佐伯の眼のふちが赤かった。涙ぐんでいるのである。今夜の事が急に心配になって来たのだろうと、私は察した。黙って少年佐伯の肩を、どんと叩いて私は部屋から出た。必ず救ってやろうと、ひそかに決意を固くしたのである。
三人は、下宿を出て渋谷駅のほうへ、だらだら下りていった。路ですれちがう男女も、そんなに私の姿を怪しまないようである。熊本君は、紺絣の袷にフェルト草履、ステッキを持っていた。なかなか気取ったものであった。佐伯は、れいの服装に、私の着物在中の風呂敷包みを持ち、私は小さすぎる制服制帽に下駄ばきという苦学生の恰好で、陽春の午後の暖い日ざしを浴び、ぶらぶら歩いていたのである。