Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ふたつのにわ

二つの庭

宮本 百合子

Lisez 二つの庭 (ふたつのにわ) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 195 492 caractères · 389 écrans

Aozora Bunko

今更そんなことをきかないのは、出ても入っても親子であり、いたいだけいていい楽な親子の関係を示していることではあった。しかし、そこには、いつも伸子がこの家の自由さとともに感じている、何か一つのものの欠けた気分があった。

送りにでた女中たちはとっくに引っこんでしまっていた。伸子は、茶室風の玄関の間からゆっくり歩いて、腰かけの方の客間へ入って行った。掃除したまま、すべての窓が開け放されている客間の壁よりに、古風な銀の枝燭台のついたピアノがおかれている。伸子は久しぶりでその蓋をあけ、黄ばんだ鍵盤の上でいくつかの音階を鳴らした。このドイツ製のピアノは中古で、少女だった伸子のために買われたものだった。伸子に教則本を教えた婦人ピアニストはウィーンで自殺した。佃と結婚してこの家を出たときから、伸子は自分の楽器というものを一つももたずに暮していた。小さなウクレーレを持っていたが、それは佃がニューヨークで伸子のために買ったものだというわけから、伸子が離婚したとき、佃の所有品とした。伸子がそれを薬指からぬきとって、用箪笥の抽斗に入れて出て来た結婚指環とともに。

あてのない音階からだんだん伸子が思い出して、前奏曲の断片を弾いていると、食堂側のドアが、がちゃっとあいた。