Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ふたつのにわ
二つの庭
宮本 百合子
Lisez 二つの庭 (ふたつのにわ) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 195 492 caractères · 389 écrans
「お父様、まだずっとあっち?」
「落着いて暮してみるといいね。駅を下りると、空気が全くちがう。第一、朝の心持がすてきですよ。この頃はヴェランダで、はだか日光浴さ」
「お客様なし?」
「絶対おことわりだよ。さもなけれゃ、行っている意味がないもの。あっちから、通っていると汽車の時間があるから、切り上げるのにもかえっていい工合ですよ。たいてい七時すぎにはつくからね」
食事のとき伸子は、半分ふざけて、
「そういえば、お父様、前崎のモーターどうして?」
ときいた。
「もういいの? 騒動なさらない?」
「うん、大丈夫だ」
泰造は、よっぽどこりたと見えて真面目に答えた。
「ポンプやの計算ちがいで、結局二馬力のにして、やっとよくなった。はじめっから俺はそれでなけれゃあぶないといっていたのに――」
事務所へかえる前、泰造は丸ビルへよって髭剃りあとへつける化粧水を買った。
「前崎でいるようなものないかしら。――わたし、これから動坂へ行くから、もしあったら届けてよ」
「何にもいりませんよ」
泰造は例の、踵の音の高く響く足どりで横浜植木の店のなかをひとまわりした。あてにして見に入ったものがないらしかった。