Classiques japonais avec furigana
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しつらくえんさつじんじけん
二十世紀鉄仮面
小栗 虫太郎
Lisez 二十世紀鉄仮面 (しつらくえんさつじんじけん) de 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 38 489 caractères · 77 écrans
僕はあの蜘蛛糸を見た時、此れなら不在証明を作れると直感したのだ。だから、それで不在証明が証明される様だったら、君が犯人だと信じていたのだよ」
「すると、もうそれだけですか?」朔郎は思わず絶望的にのけぞったが、なおも必死の気配を見せた。
「まだある。今度は像の後光だよ。然し、実に巧く月の光線を利用したもんだなア。月夜には頭上にある節穴から、約五分程の間だけ、像の後頭部に光が落ちる。それを知ったので、像に後光が現われた時刻を調べてみると、二回とも、節穴から月光が洩れる刻限に当っているらしい。それで、後光の全貌が判ったのだよ。つまり、最初の夜は、臭化ラジウムと硫化亜鉛とで作った発光塗料を、予め黒い布帽子に円く点在させておいて、それを像の後頭部に冠せ、その布帽子に長い紐をつけて、紐の末端を敷石の上に置いた鋲に結び付けて置いたのだ。そして、刻限を計って慈昶を誘い出したのだが、月の光が頭上に落ちている間はそれに遮られていたけれども、月の位置が動いて堂が真暗になると、発光塗料が螢光色の光円を作って、凄愴な擬似後光を発光させたのだよ。勿論慈昶は仰天して逃げ出したのだろうが、君は鋲を下駄で踏んでそれを引き摺って駈けながら、途中で取り外して懐中に入れたのだろう。