Classiques japonais avec furigana
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ごかいのまど
五階の窓
国枝 史郎
Lisez 五階の窓 (ごかいのまど) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 7 651 caractères · 16 écrans
よろしい、ひとつ研究してみよう。彼女は動乱の渦中にいる、煩悶していなければならないはずだ。いや、今朝会った様子では、事実ひどく煩悶していたよ。それなのにどうしたんだろう、暢気らしく午後二時になると散歩している」
「だめだなあ、そういう見方は」
山本は大袈裟な身振りをした。
「あれだけ首をかしげていれば、暢気らしいとは言えないよ。そうして、ぼくの観察によれば、散歩などとは思われないね。目的があって歩いていくのさ」
「いったい、どんな目的だろう?」
「きみ、きみ、そいつが知りたいのかい。それは非常に簡単にできる。艶子さんに訊けばいいじゃあないか」
「だって、そいつは不作法だよ」
「ではもう一つ、尾行するほうがいい」
「紳士的でないよ、ごめんこうむろう」
「どうもね、きみが紳士にしては洋服の型が少し古い」
「日本じゅうの雑誌社へ怒鳴り込んでくれ、もう少し原稿料を上げるようにって。こう貧乏じゃあ流行は追えない」
とうとう笑いが爆発してしまった。
どんなに笑い声が大きかったか? 『すみれ軒』のウエートレスたちがいっせいに二人を見たことによって、充分想像されようではないか。
そこで二人は別れることにした。