Classiques japonais avec furigana
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じんぞうにんげんエフし
人造人間エフ氏
海野 十三
Lisez 人造人間エフ氏 (じんぞうにんげんエフし) de 海野 十三 (うんのじゅうざ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 53 879 caractères · 109 écrans
彼は、たくみに手足をかわるがわるうごかし穴の壁を上へのぼっていくのであった。水兵ナイフは、穴の壁に、手足をかける凹みをつくるためたいへん便利であった。
穴をのぼりきるまでに、丁度三十分かかった。大力を自慢にしている大辻助手も、さすがにこの三十分間のむりな働きに力のありったけを出してしまったものとみえ、穴の外に出ると同時にものもいわずに、草の上にどしんと倒れて了った。
「大辻さん。しっかりしてよ」
「ふーん」
「はやくにげましょうよ。だれか追いかけてくるとたいへんだから」
「ふーん」
なにをいっても、しばらくは、ふーん、ふーんと唸っていた大辻だったが、やがて牛がやるように、むっくり起きあがると、
「ばんざーい。もう、こわい者はいないぞ。さあ、ひきあげよう!」
マリ子を背中におうと、大辻は、うすぐらい山道を下へ、どんどんと駈けおりていった。
大辻は、たいへんうれしかったのだ。そして大得意だった。彼は、帆村のことや正太のことを思い出さなければならないのだが、彼はそんなことなしに、どんどん山を下りていった。あまりにうれしすぎたのであった。大得意だったのである。
麓村へ、麓村へ! その間、人造人間エフ氏にも追いかけられないように祈りつつ、大辻助手はどんどんと山を下りていく。