Classiques japonais avec furigana
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にんげんレコード
人間レコード
夢野 久作
Lisez 人間レコード (にんげんレコード) de 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 9 936 caractères · 20 écrans
事によると今度が皮切りかも知れんて……」
「人間レコード……人間レコード……」
「ウム」
支那人風の巨漢は唖然となっている相手の顔を見下して大笑した。
「アハハハ。モウ手配はチャントしてあるよ。君の手におえん位の奴ならモウ人間レコードにきまっとるからのう。ハハハ」
山陽線の厚狭を出たばかりの特急列車、富士号がフル・スピードをかけて南に大曲りをしている。今まで列車の尻ベタに吸い付いていた真赤な三日月をヤット地平線上に振り離したばかりのところである。
展望車に接近した特別貸切室の扉の前に、二十二三ぐらいのスマートな青年ボーイが突立ったまま凭れかかってコクリコクリと居睡りをしている。その毛布の下から出た一本の細い、黒いゴム管が、ボーイの上衣の下から、何気なく後に廻わした左手の指先に伝わって、お尻の蔭の扉の鍵穴に刺さっている。音も何もしない。ボーイは帽子を傾けたままコクリコクリと動揺に揺られている。
そこへ水瓶とコップのお盆を抱えた十八九の綺麗な少年ボーイが爪先走りに通りかかったが、青年ボーイの前に来るとピタリと立停まって、伸び上りながら耳に口を寄せた。
「持って来ました」