Classiques japonais avec furigana
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かたきうちきょうだいがさ
仇討姉妹笠
国枝 史郎
Lisez 仇討姉妹笠 (かたきうちきょうだいがさ) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 80 178 caractères · 159 écrans
と主税はヌッと立ち上った。
「では妾も」とあやめも立った。
でも二人が隣部屋へ入った時には、薄赤い光は消えてしまった。
(さては心の迷いだったか)
(わたしたちの眼違いであったのかしら)
二人は茫然と闇の中に、手を取り合って佇んだ。この間も戸を破る烈しい音が、二人の耳へ聞こえてきた。
と、又も同じ光が、廊下をへだてている襖の隙から、幽かに薄赤く射して来た。
(さては廊下に!)
あやめと主税とは、夢中のようにそっちへ走った。
しかし廊下へ出た時には、その光は消えていた。
が、廊下の一方の詰の、天井の方から同じ光が、気味悪く朦朧と射して来た。
二階へ登る階段があって、その頂上から来るらしかった。
二人はふたたび夢中の様で、階段を駈け上って二階へ登った。しかし二階へ上った時には、その光は消えていて、闇ばかりが二人の周囲にあった。
悪漢毒婦の毒手によって、無残に殺された男の怨恨が、十年もの間籠っているところの、ここはあけずの館であった。その館に持主の知れない薄赤い燈火の光が射して、あっちへ動きこっちへ移って、二人の男女を迷わせる! さては殺された先代の亡魂が、怨恨の執念から行なう業では? ……