Classiques japonais avec furigana
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こんどこそ
今度こそ
片岡 鉄兵
Lisez 今度こそ (こんどこそ) de 片岡 鉄兵 (かたおかてっぺい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 2 432 caractères · 5 écrans
そんな仲間が、俺らの小工場の中に十四五人もあったんだ。
で、このストライキは結局、犠牲者を絶対に出さぬと云う条件で、一先ずおさまった。指導部が社会民主々義で、こっちの力がまだ足りなかったのだ。賃下げ反対の要求なんか全然無視されたんだから、糞いまいましいが、敗北だった。
半歳たった。或日――
「甲吉の野郎? あいつア人間じゃねえ」
裏切者! 卑怯者!
甲吉はみんなから変な眼で睨まれ始めた。スキャップ仲間は職場がちがっていた。だから旋盤では、甲吉ひとりが退けものだった。誰も話しかけようとするものさえない。
「煙草なら、あるぜ」
いつかも甲吉、ひるの休みに俺の方へバットの函をポンと投げ出したものだ。
「おい、海野、一本呉れ」
俺はスキャップの煙草なんか汚らわしいと云わぬばかりの苦笑を一つして、海野という男の方へ手を出してやった。甲吉の投げたバットの函は俺の膝に当って、空地の草の上に落ちた。
「カッしても盗泉の水は飲まずか」と山木の源公が云った。
「何だい、それゃ」と、海野が立上って「インテリ臭いや、漢文じゃねえか」
云いながら、海野は俺の前につかつかと寄って来て煙草を呉れたが、ふと俺が見ると、海野の奴、その拍子に、ギュッとばかり、甲吉のバットの函の上を靴の下に踏み付けてるじゃないか。