Classiques japonais avec furigana
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はくしゃくのかんざし
伯爵の釵
泉 鏡花
Lisez 伯爵の釵 (はくしゃくのかんざし) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 19 403 caractères · 39 écrans
群集は波を揉んで動揺を打った。
あれに真白な足が、と疑う、緋の袴は一段、階に劃られて、二条の紅の霞を曳きつつ、上紫に下萌黄なる、蝶鳥の刺繍の狩衣は、緑に透き、葉に靡いて、柳の中を、するすると、容顔美麗なる白拍子。紫玉は、色ある月の風情して、一千の花の燈の影、百を数うる雪の供饌に向うて法壇の正面にすらりと立つ。
花火の中から、天女が斜に流れて出ても、群集はこの時くらい驚異の念は起すまい。
烏帽子もともにこの装束は、織ものの模範、美術の表品、源平時代の参考として、かつて博覧会にも飾られた、鎌倉殿が秘蔵の、いずれ什物であった。
さて、遺憾ながら、この晴の舞台において、紫玉のために記すべき振事は更にない。渠は学校出の女優である。
が、姿は天より天降った妙に艶なる乙女のごとく、国を囲める、その赤く黄に爛れたる峰岳を貫いて、高く柳の間に懸った。
紫玉は恭しく三たび虚空を拝した。
時に、宮奴の装した白丁の下男が一人、露店の飴屋が張りそうな、渋の大傘を畳んで肩にかついだのが、法壇の根に顕れた。――これは怪しからず、天津乙女の威厳と、場面の神聖を害って、どうやら華魁の道中じみたし、雨乞にはちと行過ぎたもののようだった。