Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
さど
佐渡
Lisez 佐渡 (さど) de Dazai Osamu (太宰 治) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 11 270 caractères · 23 écrans
「もう、すぐですか。」私は、わざと寝呆けたような声で尋ねた。ボオイは、ちらりと腕時計を見て、
「もう、十分でございます。」と答えた。
私は、あわてた。何が何やら、わからなかった。鞄から毛糸の頸巻を取り出し、それを頸にぐるぐる巻いて甲板に出て見た。もう船は、少しも動揺していない。エンジンの音も優しく、静かである。空も、海も、もうすっかり暗くなって、雨が少し降っている。前方の闇を覗くと、なるほど港の灯が、ぱらぱら、二十も三十も見える。夷港にちがいない。甲板には大勢の旅客がちゃんと身仕度をして出て来ている。
「パパ、さっきの島は?」赤いオオヴァを着た十歳くらいの少女が、傍の紳士に尋ねている。私は、人知れず全身の注意を、その会話に集中させた。この家族は、都会の人たちらしい。私と同様に、はじめて佐渡へやって来た人たちに違いない。
「佐渡ですよ。」と父は答えた。
そうか、と私は少女と共に首肯いた。なおよく父の説明を聞こうと思って、私は、そっとその家族のほうへすり寄った。
「パパも、よくわからないのですがね。」と紳士は不安げに言い足した。「つまり島の形が、こんなぐあいに、」