Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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さくひんのしゅじんこうとしんりのかげ

作品の主人公と心理の翳

宮本 百合子

Lisez 作品の主人公と心理の翳 (さくひんのしゅじんこうとしんりのかげ) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 2 505 caractères · 6 écrans

Aozora Bunko

現実の推移をその受動性のために最もあからさまに映してゆく女性が、系譜的な作品にとって、てっとりばやい主人公とされていたことに、この系列の文学の弱さが語られた。系譜的作品が時代と人との意欲から生れる発展的な生活の物語とならず、いわば流転譚の域から脱し得なかった理由がここにある。

風吹けばそよぎ、雨ふればそれなり濡れそぼたれた女主人公の姿が、今は、眼の隅で周囲を細大洩らさず見とおしながら、そのようにそよぎ、濡れそぼつことからさえ依估地に身をひく一人の老人に代ったとすれば、それはどういう現代の心理の徴候と見るべきだろう。

火野氏の「土鈴」にある問題は今日の歴史小説の課題の或る面にも通じている。世代の善意にはいつも幅がある、それをどこから掴むかという点で。

これらのことが心にひっかかって来るというのも先頃高見順氏が獅子と鼠との喩えばなしで非力なるものとしての文学の力ということを書いて、一般に反響をもった、そのことと自然連関しているのだと思う。

今日私たちは何故、文学を別の何かと比較して、先ず文学を非力なものとして認めた上で文学について物をいわなければならないような心理になっているのだろう。