Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ふしゅう
俘囚
海野 十三
Lisez 俘囚 (ふしゅう) de 海野 十三 (うんのじゅうざ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 14 938 caractères · 31 écrans
夜の闇が、このまま何時までも、続いているとよかった。この柔い褥の上に、彼と二人だけの世界が、世間の眼から永遠に置き忘られているとよかった。しかし用捨なく、白い暁がカーテンを通して入ってきた。
「じゃ、ちょっと行って来るからネ」
松永は、実直な銀行員だった。永遠の幸福を思えば、彼を素直に勤め先へ離してやるより外はない。
「じゃ、いってらっしゃい。夕方には、早く帰ってくるのよ」
彼は膨れぼったい眼を気にしながら出ていった。
使用人の居ないこの広い邸宅は、まるで化物屋敷のように、静まりかえっていた。一週に一度は、派出婦がやって来て、食料品を補ったり、洗い物を受けとったりして行くのが例だった。いつまで寝ていようと、もう気儘一杯にできる身の上になった。呼びつけては、気短かに用事を怒鳴りつける夫も居なくなった。だからいつまでもベッドの上に睡っていればよかったのであるが、どういうものか落付いて寝ていられなかった。
あたしは、ちぐはぐな気持で、とうとうベッドから起き出でた。着物を着かえて鏡に向った。蒼白い顔、血走った眼、カサカサに乾いた唇――
(お前は、夫殺しをした!)