Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ちゅうとう

偸盗

芥川 竜之介

Lisez 偸盗 (ちゅうとう) de Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 48 934 caractères · 97 écrans

Aozora Bunko

「次郎か。」

太郎は、我を忘れて、叫びながら、険しく眉をひそめて、弟を見た。次郎も片手に太刀をかざしながら、項をそらせて、兄を見た。そうして刹那に二人とも、相手の瞳の奥にひそんでいる、恐ろしいものを感じ合った。が、それは、文字どおり刹那である。馬は、吠えたける犬の群れに、脅かされたせいであろう、首を空ざまにつとあげると、前足で大きな輪をかきながら、前よりもすみやかに、空へ跳った。あとには、ただ、濛々としたほこりが、夜空に白く、ひとしきり柱になって、舞い上がる。次郎は、依然として、野犬の群れの中に、傷をこうむったまま、立ちすくんだ。……

太郎は――一時に、色を失った太郎の顔には、もうさっきの微笑の影はない。彼の心の中では、何ものかが、「走れ、走れ」とささやいている。ただ、一時、ただ、半時、走りさえすれば、それで万事が休してしまう。彼のする事を、いつかしなくてはならない事を、犬が代わってしてくれるのである。

「走れ、なぜ走らない?」ささやきは、耳を離れない。そうだ。どうせいつかしなくてはならない事である。おそいと早いとの相違がなんであろう。もし弟と自分の位置を換えたにしても、やはり弟は自分のしようとする事をするに違いない。