Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

やつがたけのまじん

八ヶ嶽の魔神

国枝 史郎

Lisez 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 160 664 caractères · 323 écrans

Aozora Bunko

黒点は次第に近寄って来る。点が棒になり棒が人形となり、月の光を全身に浴びた一人の若い侍の姿が、やがて眼前へ現われた。諏訪家の若殿頼正である。

三人の女と老婆とは、にわかにスーッと立ち上がった。そうして音楽を奏しながら階段を悠々と昇り出した。やはり老婆は左右の手を上へ下へと上げ下げする。やがて屋内へ姿を消した。

頼正の眼は見開かれている。凝然と前方へ注がれている。しかし眠っているらしい。ただ足ばかりが機械的に動く。階段の前へ来たかと思うともう階段を昇っている。あたかも物に引かれるように、躯を斜めに傾げたかと思うとスーッと屋内へ辷り込んだ。

後は森然と静かである。音楽の音も聞こえない。

木蔭で見ていた葉之助は何がなしにゾッとした。

「……水狐族の妖術だな。あの老婆が長なのであろう。人を音楽で引き寄せる。不思議なことがあればあるものだ。……家の中で何をしているのだろう?」

強い好奇心に誘われて静かに葉之助は木蔭を立ち出で、階段へ足をそっと掛け一階二階と昇って見た。とたんにヒューと空を切って一本の投げ棒が飛んで来たが、葉之助の足を払おうとする。ハッと驚いた葉之助は、身を躍らせて階段からヒラリと地上へ飛び下りた。