Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
やつがたけのまじん
八ヶ嶽の魔神
国枝 史郎
Lisez 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 160 664 caractères · 323 écrans
「相手はご家老のご子息様だ、そんな事は断じて出来ない」
「では、品物も差し上げられませんのね」
「とてもお納めくださるまいよ」
「ではお父様いっそのこと、お招待きしたら、いかがでしょう?」
「うん、そうしてご馳走するか」
「それがよろしいかと存じます」
「なるほどこれはよいかもしれない」
大鳥井紋兵衛と娘お露とは、ここでようやく相談を極めた。
翌日紋兵衛は袴羽織で、自身鏡家へ出掛けて行った。
帰国以来葉之助は、いろいろの人から招待されて、もう馳走には飽き飽きしていた。で、紋兵衛に招かれても心中大して嬉しくもなかった。と云って断われば角が立つ。そこでともかくも応ずることにした。もっとも娘のお露に対しては淡々しい恋を感じていた。
「あの娘は美しい。そうして大変初々しい。父親とは似も似つかぬ。会って話したら楽しいだろう」こういう気持ちも働いていた。
中一日日を置いて彼は大鳥井家へ出掛けて行った。
心をこめた種々の馳走はやはり彼には嬉しかった。誠心のこもった主人の態度や愛嬌溢れる娘の歓待は、彼の心を楽しいものにした。殊にお露が機会あるごとに彼へ示す恋の眼使いは、彼の心を陶然とさせた。