Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

いちょう

公孫樹

豊島 与志雄

Lisez 公孫樹 (いちょう) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 9 764 caractères · 20 écrans

Aozora Bunko

父の死後、僕は長男として家督を継いで、いろんなものを整理し初めた。そして、古い手文庫の抽出をかき廻してると、その底に意外なものを見出した。

それは六つ折りの奉書紙で、折り畳んだ真中に公樹と二字認めてあり、表の上に、何年何月何日生としるしてあった。みな父の筆蹟だった。よく調べてみると、僕達兄弟のと同じ形式の七夜の命名式の紙で、その生年月日は僕より一年三ヶ月前だった。

初め僕はただ意外な驚きだけを感じたが、やがて変な胸苦しさを覚えてきた。いろんなことが綜合されて、一つの空想にまとまってきたのである。

僕はその奉書の紙を秘密にしまいこんで、いろいろ事実の調べにかかった。然しはっきりしたことは何も分らなかった。ただ断片的な事実を列挙すると、父は初め国から出て来て、祖母と二人で暮していた。それから、国許の従妹と結婚した。その結婚は僕が生れる一年半ばかり前のことだった。次に、その公樹という名前と、父が生前大事にしていた公孫樹、それ以外に何もなかった。然しそれだけのことから、僕の頭に一つの小説が自然と出来上っていった。馬鹿げた空想かも知れないが、僕の場合に立ったら、誰でもそうより外に考えようはないだろうと思う。