Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
いちょう
公孫樹
豊島 与志雄
Lisez 公孫樹 (いちょう) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 9 764 caractères · 20 écrans
」
私達はもう歩き出していた。そして、吉住は最後の言葉を投げ出すように云い捨てて、憂欝そうに黙り込んでしまった。
彼が憂欝になると、一つの癖がある。下唇の端を犬歯で軽く噛んで、眼をしょぼしょぼとさせるのである。でその時――というのをくわしく云えば、朝から碁を囲んでいい加減疲れて、夕飯でも食おうとて出かけて、帝大の裏門から正門へぬける途中、砂利の煮られるのから、次に公孫樹のことになって、彼が急に憂欝な態度を取ってしまったため、私まで変に気が挫けて、彼のしょぼしょぼした眼から何かを読み取ったり、犬歯で軽く押えられてる唇をほどかしたりする、そんな努力が大儀になって、黙って彼と肩を並べて歩いた。
初め私達は、大学をつきぬけたら正門前から電車に乗って、日本橋の方へ行くつもりだったが、それも面倒くさくなって、どちらから云い出すともなく、正門近くのレストーランで、簡単に飯を食うことにした。
所が、そのレストーランの二階に腰を落付けると、自然と眼の向く表通りに、やはり公孫樹の街路樹が植っていて、小さな可愛いい葉の萠え出してるのが、硝子戸越しに見えていた。まだ時間が早くて、電気の来ない室内がぼうっとしてるだけに、外の明るみが際立って、公孫樹の梢がすぐ眼先にまざまざと浮出してきた。