Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

くらのすけるす

内蔵允留守

山本 周五郎

Lisez 内蔵允留守 (くらのすけるす) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 12 082 caractères · 24 écrans

Aozora Bunko

「岡田さまのお国はお遠くでございますか」

「近江です、近江の蒲生というところです」

そう云いながら、虎之助はふと、もう二十余日も一つ家に暮していて、まだ故郷の話もしていなかったことに気づいて驚いた。何処へいっても先ず訊かれ、またこちらからも語るべきことを、閑右衛門の家ではまるでその折がなかった。老人の人柄だ。虎之助はそう思った、老人は気づかぬところに、そうしたふところの広さを持っているのだ、彼はまた一つ、閑右衛門の心を覗き見たように思った。

「お母上さまはお達者でございますか」

父親は、兄弟はと、もつれた糸が遽かにほぐれだしたように、娘は次々と質問を始めた、今日まで訊きたいと思っていたことが、一時に口へのぼったのである。

二人は川原へ出ていた。虎之助は奈美と並んで、川原の冷たい礫の上に腰を下ろしながら、亡き父の事、達者ではいるがひどく子煩悩な母の事、孝心の篤い弟思いの兄の事などを、問われるままに語った。……夜の流れの誘いか月の光りの悪戯か、或いはまた、娘と二人きりで話すという初めての経験のためか、そうして話していることが、次第に虎之助の心の底に温かい感動を呼び起こしてきた。