Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しょか(せんきゅうひゃくにじゅうにねん)

初夏(一九二二年)

宮本 百合子

Lisez 初夏(一九二二年) (しょか(せんきゅうひゃくにじゅうにねん)) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 3 549 caractères · 8 écrans

Aozora Bunko

あの 雲のない 空が恋し

パンよ、パンよ

お前の笛の音によって

私の若さは還らないか。

きらめく 五月の光は戻らないか。

*

わが ひと

貴方は 今 何をして居ます

都会から数百里

淋しい田園の裡にあっても

貴方の、面影は わが心の前に立ち

動作が、ありありと眼に写ります。

やや古びた八畳

大きな机や 水鉢の金魚

貴方は白い浴衣を着

今は書籍の前に

今は 縁に

又は水を打った庭樹の面を

いかにも東洋人の安易さを以て

ひっそりと打眺めて居られるでしょう。

遠く離れ

心では 又と会うまいと知りつつ

静かに 面影を描く

私の心が わかりますか。

一度、わが良人と呼べば

縁は深く 絆は断ち難い

ただ一人の女として 私はどれ程

男たる貴方に恋着するだろう。

打ち顫える抱擁と

思い入った瞳を思い起せば

私は 心もなえ

獣となって 此深い

驚異すべき情に浸りたいとさえ思う。

けれども

わが ひとよ!

わが ひとよ!

ああ 貴方は。――

神よ。

私は

授けられた貴方 命を

懼れ畏こみ従おうとしつつも

わが胸の苦しみを

殆ど耐え難く思います。

*

何と云う 哀愁!

八月の空には雲が多く

白く金色に 又紫に輝いて

地に 穀物は実り たわわなれど