Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
わかれのじ
別れの辞
豊島 与志雄
Lisez 別れの辞 (わかれのじ) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 18 330 caractères · 37 écrans
二
夜遅く、市内電車が無くなったばかりの頃だった。島村と宮崎とは、上野広小路の大通りから、公園の方へ歩いていった。二人とも酔って、だいぶ足が乱れていた。それをゆっくり踏みしめながら、話し続けていた。
「君の気持は嬉しいが、もう間に合うまいよ。」
「え、間に合わないんですって。」
宮崎は一寸足を止めて、島村を見つめた。島村は振向きもせずに、歩き続けた。
「何事にも時機というものがある。こう云うと、君はまた心配するだろうが、一体、君のその変な杞憂がおかしいよ。単なる金銭問題だろう。金銭問題は、数字上の問題で、小学校の算術だ。そんなことで死ぬ馬鹿があるものか。」
「世間にはいくらもある……。それに、あなたの態度が、まるでめちゃだから……。」
「単に金を借りるのが目的だったら、僕もあんな態度には出ないさ。然し、大体もう駄目だと見極めがついて、こんどはこちらから世間を試してやれという気持になったら、それが当然じゃないか。」
「そして全然駄目だったら……世間があなた自身よりも金の方を大事にするんだったら……どうします。それを僕は……。」
「うむ、分ってる。最後の切札はあるんだ。