Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ぜんきてんまやけ

前記天満焼

国枝 史郎

Lisez 前記天満焼 (ぜんきてんまやけ) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 48 568 caractères · 98 écrans

Aozora Bunko

即ち狂信者の連中が、三方四方に組を分け、包囲するように追って来たが、その一組がその方角から、こっちへ走って来るのであった。

「いけない!」と喚くと岡引の松吉は、身を飜えすと左へ曲がった。

なおも、ひた走るひた走る。

するとその行手からこっちを目掛け、狂信者の群が走って来た。

「いけない」と露路へ走り込んだ。

「どうぞお助け下さいまし」

露路に倒れていた一人の老婆が、腕を延ばすと縋り付こうとした。

「お粥なと一口下さりませ」

「こっちこそ助けて貰いたいよ」

振り切って松吉はひた走る。

出た所が川口町で、群集が飛び廻り馳せ廻っている。

大火になると思ったのだろう家財を運んでいる者がある。

ぶちこわしが恐ろしい連中なのであろう雨戸を閉ざす者もある。

露路に向かって駈け込む者、露路から往来へ駈け出る者……それで、往来はごった返している。

「うむ、これなら大丈夫だ。身を隠すことも出来るだろう」

松吉は背後を振り返って見た。薄紅い火事の遠照を縫って、青い火が一点ゆらめいて来る。

「どうもいけない、目つかりそうだ」

また走らなければならなかった。

出た所が富島町で、それを突っ切ると亀島橋、それを渡れば日本橋の区域、霊岸島から出ることが出来る。