Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

けんきょう

剣侠

国枝 史郎

Lisez 剣侠 (けんきょう) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 156 961 caractères · 310 écrans

Aozora Bunko

「おい赤尾の、ちょっと待ちな」

怒った猪之松の声がした。

「用か」と振り返った林蔵の前に、猪之松の抜いた長脇差が、白く真直に突きつけられていた。

「や、とうとう、それでも抜いたか!」

「そうさ、それまでこの猪之松に、真剣勝負を望むなら、俺も男だ引きはしねえ。気持よく相手になろうじゃねえか。……やいやい手前達……」と振返り、乾児達へ声をかけた。

「赤尾のと俺との真剣勝負、手を出しちゃアならねえぞ。もし俺が殺されたら、そうさな骨だけは拾ってくれ。……それから水品先生もだ……」

こう云うと猪之松は編笠を冠った、浪人武士の方へ顔を向け、

「貴郎も助太刀などなされずに、最後まで見ていておくんなせえ」

「心得てござる」と云いながら、その武士はゆるゆると編笠を脱いだ。

鴫澤庄右衛門を討って取り、甲州へ一旦落ち延びたが、主水が敵討にやって来るであろう、燈台かえって下暗し、それに武州には甲州以上に、親しくしていた博徒があり、身上の治まらぬところから、破門はされたが剣道の師匠、逸見多四郎先生も居られる、かたがた都合がよかろうと、甲州から武州へ引っ返し、以前わけても世話になった高萩村の猪之松方に、賭場防として身を寄せた。