Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

かご

加護

宮本 百合子

Lisez 加護 (かご) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 16 147 caractères · 33 écrans

Aozora Bunko

ひどく靄(もや)の濃い朝である。

ひっそりした午前六時過の天地は、一面、乳白色の、少しきな臭いような靄に包まれ、次第に昇る朝日に暖められた大気が、水のように身辺を流動する。

奥には溶けるような薔薇色の輝やきを罩(こ)め、稀な人影を、ぼんやり黒く浮上らせる往来の様子は、彼女の心に、珍らしい美しさを感じさせた。

ところ、どころの靄の切れめからは、チカチカと粉のように耀く杉の黄葉や樫の梢が見える。一間二間と、歩みにつれて拓けて行く足下の往来の上では、濡れ湿った小石の粒が、鋭い少年の眼のような反射をなげる。

まだちっとも塵の立たない大きな屋敷の塀の内で、元気な犬が、胴震いをして頸輪を鳴らし、嗅ぎ音を立てながらあっちこっちしている気勢なども、如何にも快い十二月の朝らしく響いて来る。

何に行手を遮られることもなく、寒く、しかも暖く靄と太陽とに纏まれて歩いていると、お恵さんの心には、何とも云えない平安が満ち溢れて来た。

この道も、幾度通った処だろう。時には、明朝を想うさえうんざりして、のろのろ足を引擦って来たことのある路だ。

それが、今朝は、まるで違った世界に在るように気持よい。