Classiques japonais avec furigana
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すけごろうよざい
助五郎余罪
牧 逸馬
Lisez 助五郎余罪 (すけごろうよざい) de 牧 逸馬 (まきいつま) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 7 407 caractères · 15 écrans
「いや、もう、お構いなく」と助五郎は一服つけて、「おや、今日は稽古は?」
と、初めて気が付いたように六畳の茶の間を見廻す。権現様と猿田彦を祭った神棚の真下に風呂敷を掛けて積んである弟子達の付届けの中から、上物の白羽二重が覗いているのが何となく助五郎の眼に留まった。おろくは少し狼狽て気味に、
「旦那さんは何ぞ御用の筋があんなすって、どこぞへのお戻りでもござんすか」
と話の向きを変えようとする。
「なあにね」助五郎は笑った。「ついそこのお稲荷さんまでお詣りに来やしたよ。あんまり御無沙汰するてえと、何時こちとらも溝水を呑まされねえもんでもねえから」
「あら、旦那――」おろくはちょっと奥へ眼を遣った。
「お内儀、とんだ災難だったのう」
「あの、もう御存じ――」
「商売商売、蛇の道ゃ蛇さ」と、助五郎は洋銀の延べを器用に廻しながら「人気稼業の芸人衆だ。なあ、誰しも嫌な口の端あ御免だからのう、お前さんがひた隠しなさろうてなぁもっともだけれど、眷属さまにしちゃちっと仕事が荒っぽいぜ。時に、御病人は如何ですい?」
「おろく」襖の彼方から又七の嗄れ声がした。
「何誰だえ?」
「あの、警察の――」