Classiques japonais avec furigana
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かちうんまけうん
勝ち運負け運
佐々木 邦
Lisez 勝ち運負け運 (かちうんまけうん) de 佐々木 邦 (ささきくに) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 119 262 caractères · 243 écrans
菊太郎君は高熱にも拘らず、僕が行った時は折り合っていた。じっと僕の顔を見て、頷いたようだった。
「直きに癒るよ。しっかりし給え」
と僕は力をつけた。話をしてはいけないと断られている。
「宜いでしょう? 日出男さんに来ていたゞいたから」
とお母さんが言った。菊太郎君は満足らしい顔をしたが、間もなく目を瞑って、ウト/\し始めた。豊子さんも見舞いに来ていて、
「日出男さん、一寸」
と僕を廊下へ誘い出した。
「飛んだことですね、本当に」
「私、あなたにお願いがございますの」
「何ですか?」
「成田山へ往って来ていただけません? 御祈祷をお願いに」
「お安い御用です。行って参りましょう」
「なんとかして助けてやって下さい。兄さんに万一のことがあれば、家は暗よ」
と豊子さんは泣きそうになっていた。
僕は早速成田詣りを果した。大きな御祈祷札を貰って来て、病室へ持ち込んだ。菊太郎君は高熱のため脳症を起して、二三日容態が悪かった。頻りに譫言を言う。それも学校の講義だ。財政学や銀行論の要点を口走る。試験を受けたばかりだから、能く覚えている。時折雄弁滔々、水の流るゝが如きものがあった。