Classiques japonais avec furigana
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かちうんまけうん
勝ち運負け運
佐々木 邦
Lisez 勝ち運負け運 (かちうんまけうん) de 佐々木 邦 (ささきくに) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 119 262 caractères · 243 écrans
取引所の真似だ。
「有難い!」
「何うして?」
「僕も蛙の子だ」
と菊太郎君は手を挙げて、指を動かして見せた。店員から習ったのだ。商業区に生れた僕達は山の手のお坊っちゃん育ちとは違う。もう実務が頭の中にあった。尤もこれは住んでいる兜町以外を全く知らなかったからだろう。
「株屋が一番豪い。その次は商人、山の手は烏だ」
という風に店員達からも聞かされていた。それだから、後日その山の手の烏が来て豊子さんを攫って行くなぞとは夢にも思いがけなかった。
「お互に成金になろうよ」
「当り屋兄弟だ。僕は君のところに妹があると好いと思うんだけれど」
「何故!」
「貰う」
「ハッハヽヽ」
「錦子さんを貰おうか?」
「年が上だよ」
「馬鹿にされてしまうね」
「あれは生意気で仕方がない」
「豊子は君にやる。僕はどうしても君を弟にして置かないと喧嘩になる」
「弟でも宜いよ」
と僕は豊子さんが貰いたかった。
豊子さんは僕より二つ年下だった。今会って見ると、然う大した美人でもないが、矢張り可なりに踏める。尤も妻に言わせると、形なしだ。
「あなた、あんな下品な人、何処が好かったの? あなた、ねえ、あなた。しっかりして下さいよ」