Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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オチフルイかいじゅうろうてがらばなし

十二神貝十郎手柄話

国枝 史郎

Lisez 十二神貝十郎手柄話 (オチフルイかいじゅうろうてがらばなし) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 127 035 caractères · 254 écrans

Aozora Bunko

不思議ではあったがどうでもよかった。あの男が妾を救ってくれるのなら。で彼女は云われるままに、品川へ行こうとしているのであった。一人の立派なお武家様が、蔭身に添ってあなた様を、お守りなさるでございましょうと、こうあの薬売りの男が云った。

侍が背後から従いて来ていた。その立派なお武家様なのであろう。彼女は今安心していた。

二

京橋の中ほどまで来た時である、彼女はすっかり疲労れてしまった。こんなに歩いたことがないからである。彼女はだるそうに足を止めた。

と、彼女の左側に、一挺の駕籠が下ろされた。そこで彼女は振り返って見た。侍が手を上げて駕籠を指している。で、彼女は安心して、駕籠の中へ身を入れた。

こうしてお島を乗せた駕籠が、三月の月に照らされながら、品川の方へ揺れて行く後から、袴なしの羽織姿の、その立派な侍が、大して屈托もなさそうに、しかし前後に眼を配って、油断を見せずに従いて行った。

芝まで行った時であった、そこの横町から一人の旅僧が、突然現われて駕籠へ寄ろうとした。

「これ!」と侍が声をかけた。

旅僧はギョッとした様子であったが、何も云わずに後へ下がった。