Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

クルスかんのん

十字架観音

野村 胡堂

Lisez 十字架観音 (クルスかんのん) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 13 655 caractères · 27 écrans

Aozora Bunko

家の中は急にザワめいて、

「何処だ、何処だッ」

二三ヶ所雨戸が開いて、バラバラと人が飛出します。

その隙を狙って余吾之介、パッと家の中へ――

暫らくは他愛もない騒ぎが続きましたが、結局、何処も火事でないと解ると、一度起き出した多勢の雇人は、口小言を言いながら、温かい寝床へ帰って行きました。

暫らくは何んの音も聞えません。

ものの小半時もたつと、

「曲者ッ」

「皆んな起きて来い、曲者が入ったぞッ」

家の中は又急に騒ぎ出しました。

今度は棒を入れて掻きまわしたような大混乱です、悲鳴と、罵りわめく声と、物の倒れる音とが一緒になって、雨戸を張り割くように、一団の人数が飛出しました。

真ん中に刃を振り冠ったのは余吾之介でしょう。手燭の行灯の覚束ない灯を便りに、四方から斬ってかかりますが、余吾之介の気組の激しさに暫らくは寄付く者もありません。

「あッ、女もおるぞ」

「逃すなッ」

木立に潜んでいたお秋、思わず庭に出たところを、多勢の者に見つかってしまったのです。

「あッ」

逃げようとしたが及びません、飛付いた男の腕、後から無図とお秋の襟髪をつかみます。

「己れッ」

それと見た余吾之介、二三人踏み倒して飛込みざま、お秋を引立てる男を、袈裟掛に斬って捨てました。