Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ちはやかんのめいろ

千早館の迷路

海野 十三

Lisez 千早館の迷路 (ちはやかんのめいろ) de 海野 十三 (うんのじゅうざ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 24 829 caractères · 50 écrans

Aozora Bunko

そして浮彫の上には、白く砂だか灰だかが積もっていて、ここ何年もこの扉が開かれた様子はない。

帆村は、手袋をはめた手でもって、表扉の把手――それは黄金色の紅葉が散らしてあったが、それを握って廻してみたり、引いたり押したりしてみたが、扉は微動だにせず、ここから入ることの困難なることを示した。帆村は把手から手を放してからカズ子の方を振向いて、軽く肩をすぼめて見せた。カズ子は、よく分りましたという風に二三度肯いた。

どこか他に入れる戸口があるのだろうと思った帆村は、カズ子を促して建物について、ぐるぐる廻ってみた。裏手には確かに三つの出入口があったが、いずれも重い小鉄扉が下りていて、侵入を阻んでいた。しかも錆ついていて、ここ何年かそれらの扉が開かれたことがないのを語っていた。その先を建物についてなおも廻っていると、元の玄関の前へ出た。これで一巡したのである。三四丁もある遠道をしたような気がした。雑草が足をしばしば奪ったせいでそう感じたのかもしれないが……。

「どの戸口も開かれた様子がない。ふしぎだなあ」

と帆村は、春部を振返った。

「でも、これまでにこの千早館を訪れた人は、中へ入ったんでしょう。