Classiques japonais avec furigana
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はんにちあるき
半日ある記
寺田 寅彦
Lisez 半日ある記 (はんにちあるき) de 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 2 975 caractères · 6 écrans
右手に萩の園と掛札ある家を、これが百花園かと門内を覗くに、どうやら変なれば、客待ちの車夫に問うに、百花園はまだずっと先なり。大倉の別荘の石垣に、白赤の萩溢るゝがごときに、二輌の馬車門を出でて南へ馳せ去りたる、あれは喜八郎の一家か、車上の男女いたく澄まし顔なるが先ず癪に触りける。三囲の稲荷堤上より拝し、腹まだ治まらねば団子かじる気もなく、ようやく百花園への道札見付けて堤を右へ下り、小溝に沿うてまがりくねりの道を行く半町ばかり。道傍、溝の畔に萩みだれ、小さき社の垣根に鶏頭赤きなど、早くも園に入りたる心地す。
この辺紺屋多し。園に達すれば門前に集う車数知れず。小門清楚、「春夏秋冬花不断」の掛額もさびたり。門を入れば萩先ず目に赤く、立て並べたる自転車おびたゞし。左脇の家に人数多集い、念仏の声洋々たるは何の弔いか。その隣に楽焼の都鳥など売る店あり。これに続く茶店二、三。前に夕顔棚ありて下に酒酌む自転車乗りの一隊、見るから殺風景なり。その前は一面の秋草原。芒の蓬々たるあれば萩の道に溢れんとする、さては芙蓉の白き紅なる、紫苑、女郎花、藤袴、釣鐘花、虎の尾、鶏頭、鳳仙花、水引の花さま/″\に咲き乱れて、径その間に通じ、道傍に何々塚の立つなどあり。