Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

みなみさんのこいびと

南さんの恋人

豊島 与志雄

Lisez 南さんの恋人 (みなみさんのこいびと) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 17 630 caractères · 36 écrans

Aozora Bunko

」

登美子はひどく冷淡にとりすまして、それも、どこか慴えてるのを押し隠そうとしてるせいもあるらしく、気味わるそうに南さんの様子を見ていた。

その時、南さんはふいに両腕を押して、体操でもするような恰好をし、それから拳で卓子を叩いた。

「ビールだ。」

一人になると、南さんは何か駭然として眼を見張り、やがて急に、両手に額を埋め、上目使いに眼を見据えて、静まり返った。何とも云えない憂欝な表情だった。少しの弾力性もない、泥沼みたいなものだ。そしてその憂欝が、次第に、ごく自然に、自嘲の影を帯びてきた。醜い顔だった。酔いの赤みも、血のけも、そして恐らく一緒に意識も、引潮のように引いて、死の一歩手前の停滞だ。それはおれにも珍らしく、じっと見ていたが……そこへ、登美子が戻ってきた。

「二本一緒にもってきたわ。あたしも飲むわ。」

南さんは夢からさめたように顔をあげ、眼をしばたたき、身振りで登美子をそばに呼んで、自分のわきに坐らした。そしてビールを飲みながらの話――「僕には、打明けて云うと、一人の恋人があるんだよ。僕はその人を心から愛し、生命をかけて恋している。向うでも、僕をほんとに愛していてくれる。