Classiques japonais avec furigana
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なんちしんじゅう
南地心中
泉 鏡花
Lisez 南地心中 (なんちしんじゅう) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 39 205 caractères · 79 écrans
処を、どうです。それなりに身を任せて、静として、しかも入身に娜々としているじゃないか。
掴寄せられた帯も弛んで、結び目のずるりと下った、扱帯の浅葱は冷たそうに、提灯の明を引いて、寂しく婦の姿を庇う。それがせめてもの思遣りに見えたけれども、それさえ、そうした度の過ぎた酒と色に血の荒びた、神経のとげとげした、狼の手で掴出された、青光のする腸のように見えて、あわれに無慚な光景だっけ。」
「……へい、そうですかね、」と云った男衆の声は、なぜか腑に落ちぬらしく聞えたのである。
「聞きゃ、道成寺を舞った時、腹巻の下へ蛇を緊めた姉さんだと云うじゃないか。……その扱帯が鎌首を擡げりゃ可かったのにさ。」
「まったくですよ。それがために、貴方ね、舞の師匠から、その道成寺、葵の上などという執着の深いものは、立方禁制と言渡されて、破門だけは免れたッて、奥行きのある婦ですが……金子の力で、旦那にゃ自由にならないじゃなりますまいよ。」
「気の毒だね。」
「とおっしゃると、筋も骨も抜けたように聞えますけれど、その癖、随分、したい三昧、我儘を、するのを、旦那の方で制し切れないッて、評判をしますがね。