Classiques japonais avec furigana
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なんちしんじゅう
南地心中
泉 鏡花
Lisez 南地心中 (なんちしんじゅう) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 39 205 caractères · 79 écrans
「大将、甲羅干しに板へ出る気だ。それ乗ります。」
と男衆の云った時、爪が外れて、ストンと落ちた。
が、直ぐにすぼりと胸を浮かす。
「今度は乗るぜ。」
やがて、甲羅を、残らず藻の上へ水から離して踏張った。が、力足らず、乗出した勢が余って、取外ずすと、ずんと沈む。
「や、不可い。」
たちまち猛然としてまた浮いた。
で、のしり、のしりと板へ手をかけ、見るも不器用に、堅い体を伸上げる。
「しっかりしっかり、今度は大丈夫。あ、また辷った。大事な処で。」と男衆は胸を乗出す。
汀のお珊は、褄をすらりと足をちょいと踏替えた。奴島田は、洋傘を畳んで支いて、直ぐ目の下を、前髪に手庇して覗込む。
この度は、場処を替えようとするらしい。
斜に甲羅を、板に添って、手を掛けながら、するすると泳ぐ。これが、棹で操るがごとくになって、夥多の可心持に乾いた亀の子を、カラカラと載せたままで、水をゆらゆらと流れて辷った。が、熟として嚔したもの一つない。
板の一方は細いのである。
そこへ、手を伸ばすと、腹へ抱込めそうに見えた。
いや、困った事は、重量に圧されて、板が引傾いたために、だふん、と潜る。