Classiques japonais avec furigana
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なんきょくのかいじ
南極の怪事
押川 春浪
Lisez 南極の怪事 (なんきょくのかいじ) de 押川 春浪 (おしかわしゅんろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 16 508 caractères · 33 écrans
は地球の果に来りて、大氷山の陰になりしためにや、風も何時か吹きやみて、船が氷山の一角に乗りあげし時、その余響を受けて荒れまわりし激浪怒濤も、次第々々に静かになり、四辺は急にシーンとせり、人の恐るる地球の果、人間とては余の他には一人もなく、鳥もおらず、獣もおらず、魚すらもおらず、実にこの天地間にあって、何の物音も聴えぬと云うほど物凄き事はなし、余は寂寥のためにまず気死せんとせしが、ようやく気を取直してそろそろ四辺を見まわすに、天地間の暗き事依然として異らざりしか、その暗き間に、余は忽然として一大怪物を見出せり、何等の怪! 何等の奇! 怪物は余が帆船の右舷とほとんど触れんばかりに相列び、その動かざる事山のごとく、その形もまた巨山のごとき黒き物なり、大氷山か? 大氷山か? あらず、大氷山ならば白きはずなり、余は怪訝にたえず、眼を皿のようにして見詰めしが、暗々陰々として到底その正体を見究むるあたわず、かかる間にも寒気はますます加わり、もしこのままにてなお十分間を過さば、余はついに凍え死ぬべし、ああいかにしてこの寒さを防がん、数十枚の毛布はすでに着尽したり、もはや着るべきものは一枚もあらず、余は血走る