Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

なんろ

南路

宮本 百合子

Lisez 南路 (なんろ) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 31 813 caractères · 63 écrans

Aozora Bunko

翌朝、自分達は着物も着換えないうちに、汽船会社に電話をかけた。

ハワイの方を廻ってもよし、来た通りでも仕方がない。

早く日本に着きさえすればよい願で訊いて見ると、東洋汽船では、一月の下旬に出る船にほか空がないという。

危い思いをして郵船にかけると、わざわざT氏が出て来られ、事情をきき、温い言葉で慰められたとき、自分は手を執って謝したい心持になった。

ちょうど、一人婦人で契約の曖昧な客があるのだそうだ。

早速その方を確めて、出来るだけ便宜を計ってくれられることになった。若しそれが好都合に行けば、「十二月の三日にシアトルを出て、二十日前後には、東京にいられよう」というのである。

万事を氏の好意に一任して、とにかく、自分達は正金に出かけた。旅行券の裏書をして貰うために、領事館へも行かなければならない。――

今まで、種々な意味で自分の感興を牽(ひ)いていた街上のさまざまな情景は、一時に光彩を失ってしまった。

心の中には、重苦しい、点と点とが出来た。それを、事務的な行動という連鎖で結びつける必要から、眼は、ひたすらそれ等の点ばかりを見つめて動き廻る。街路はただ或る処に行くためにあるく路、地下電車(サブウェー)は、或る一点に、出来るだけ速く体を運ぶ交通機関と、生活は、すっかり潤いと興味とを奪われてしまったのである