Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

なんろ

南路

宮本 百合子

Lisez 南路 (なんろ) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 31 813 caractères · 63 écrans

Aozora Bunko

けれども、内容は、落付かない往来を歩き歩き読むような種類のことではなかった。始めは、何でもない家庭の情況、次に、改めて「卿等」という、父には稀らしい呼びかけの言葉で、我々の結婚に対する返事が書かれているのだ。

私は、それを良人に見せ、

「あとにしましょうね」

と云って、仕舞って貰った。瞬間、父や母の面影が見え、自分は云いようのない心持がした。――

暫く、店舗やデパートメント・ストアの賑やかな街道りを歩き、私共はその頃評判であった“Broken Blossoms”を看た。それから、夕靄の罩(こ)め、燈火の煌(きら)めくブロードウエーを、ずっと下町に行って、食事をした。家に帰ったのは、およそ八時頃であったろうか。

湯をつかい、楽な部屋着に換え、窓枠に載せて置いた草花の鉢をとりこんだりしてから、さてゆっくりと、先刻(さっき)の手紙を読み始めたのである。

文面は、如何にも父や母の慈愛と、率直な真心とを漲したものであった。遠く離れている彼等の心配と、幸福を祈ってくれる心持とが胸に滲みるように感ぜられた。

恐らく父は、食堂の隅にあるライティング・テーブルの前に坐って、大きな暖い頭を心持右に傾げながら、考え考えこの手紙を書いてくれたのだろう。