Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ふるきミニエチュア

古き小画

宮本 百合子

Lisez 古き小画 (ふるきミニエチュア) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 70 298 caractères · 140 écrans

Aozora Bunko

そして、胸墻(きょうしょう)の下に取つけた石の、浅い腰架に腰を卸した。下を瞰下(みおろ)すと、遙に小さく、城外の村落を貫き流れる小川や、散らばった粘土の家の平屋根、蟻のように動く人間や驢馬(ろば)の列が見える小川の辺りでは、女が洗いものでもしているのか、芽立った柳の下で、燦く水の光が、スーラーブの瞳に迄届いた。遠く前面を見渡すと、緩やかな起伏を持った丘陵は、水気ゆたかな春先の灌木に覆われ薄臙脂(えんじ)色に見える。その先の古い森林は、威厳のある黝緑(ゆうりょく)色の大旗を拡げ立てたように。最後に、雪をいただいた国境の山々が、日光を反射し、気高い、透明な、天に向っての飾りもののように、澄んだ青空に聳え立っている。

肱をつき濁りない自然に包まれているうちに、スーラーブの心は、白雲のように、音もなく、国境の山並の彼方に流れた。そして茫漠としたイランの空の上で、降り場所を求めるように円を描いて舞う。けれども、彼の心を、地上から呼びかけて招いてくれるものもなければ、落付き場所を教えてくれてもない。スーラーブは、父の名を知らなかった時、それさえ解ったら、どんなにさっぱり、心強いことだろうと思い込んでいた。